農中信託銀行（高橋茂充社長）は５月31日、２０２１年３月期（２０２０年４月～２０２１年３月）の決算概要を発表した。
信託報酬が信農連等から受託しているファンドトラスト（ファントラ）や特定金銭信託（特金）・特定金外信託（特金外）の残高伸長、また、有価証券信託の期中残高の増加等により前年同期比５７５百万円増の４９９２百万円、役務取引等収益が同１９百万円増の９０５百万円、資金運用収益が配当の減少等により同４９百万円減の２５８百万円となり、経常収益は同９・７％５４５百万円増の６１５６百万円となった。
一方、経常費用は、人件費等が増加したことから同２８８百万円増の４３５０百万円となり、経常利益は同１６・５％２５６百万円増の１８０６百万円、当期純利益は同１５・３％１６９百万円増の１２７５百万円となった。
信託財産の状況は、特金・特金外および金銭債権信託が新規案件の受託等により、それぞれ前期末比３６８４億円増の２兆９０２億円、同３５９１億円増の１兆７４２５億円となった一方、有価証券の信託が受託有価証券の償還などにより同６０２６億円減の７兆４３０億円となったことをうけ、２０２１年３月末の信託財産合計は同１６９１億円増の１３兆５３１６億円となった。
また、系統信用事業の顧客基盤維持等につながる相続・遺言関連業務については、遺言書作成契約件数は前年同期比６３件減の３３７件となった。２０２１年３月末現在、遺言信託代理店数は前年度末から７店増え、１１０のＪＡ・信農連、信託契約代理店数は前年度と変わらず１３の信農連が参加している。
なお、２０２１年３月末現在の国内基準による単体自己資本比率は、前期末比９・４０ポイント減の１３９・１６％となり、引き続き高い財務健全性を維持している。
同行では２０２０年度について、「中期経営計画（２０１９年度～２３年度）の２年目として、引き続き『チャレンジと変革』をテーマに、『ＪＡグループの信託銀行として、お客様のニーズに適切に対応するとともに当社の収益力強化も図られていること』を目指す姿として取り組みを行っている」としている。
