令和元年度 JA営農・経済担当常勤役員・幹部職員研修会
第5回JA営農・経済フォーラム(東日本地区 2019年8月29~30日)
JAの実践事例報告より
営農経済部部長 古橋裕明 氏
異動のない「専門業務従事者」を設置
当JAでは農業者の所得増大に向け、「専門業務従事者」制度を平成28年度新設した。営農指導員にも定期人事異動が求められる中、規定で専門業務従事者については異動対象からはずした。現在、専門業務従事者として、「営農指導・販売のプロ」を8名、買取米の販売を行う「米」のプロを1名、税務申告書の記帳代行等を行う「経営指導」のプロを1名置いている。
当JAでは、営農指導を行う者が販売まで担当している。専門業務従事者制度を通じ営農販売担当者の知識・スキルを高度化させ、多様化する販売環境の変化と消費者・実需者ニーズに対応できる人材育成を図り、担当品目を越えた販売促進活動が展開できるようめざしている。専門業務従事者を講師に職員のレベル別講習会も開いている。
管内は3地区に大別され、東部は施設園芸、中部は水稲・果樹、西部は露地野菜と経営品目に特徴を持つが、営農指導レベルは管内10支店間で差がみられた。
そこで、地区ごとに営農センターを立ち上げ営農指導部門を拠点に集約。情報の共有・平準化、職員のスキルアップ、販売力強化を図っている。支店から切り離すことで業務が絞られ、出向く体制の強化も図られた。
当JAでは「買取米」を20年から始め、30年産では集荷全体の91%。現在42社と直接取引している。計画生産に取り組む組合員メリット措置として始めたものだ。27年産からは、中食・外食向けに開発された水稲新品種「つくばSD2号」の生産も始めた。
輸出米も全農・商社等との連携で昨年始め、県内最大の462tを集荷。香港、シンガポール、イギリス等に出荷した。
ブランド化、新規作物の普及拡大にも力を入れている。選果場の高度化では、省力化で「晩酌できるようになった」との声もある。直売所は3か所で30年度販売額は11憶円をあげている。
スマート農業では、ドローンの操縦資格を今年約30名が取得し、うち7名は講師資格も取得している。
生産資材コスト低減では、肥料や農薬の大口値引、満車自己取りの実施等により中間マージンを削減し、昨年は約4千万円を組合員に還元した。
(日本農民新聞 2019年9月25日号掲載)