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日清製粉が豪・ARISTA社と共同で高食物繊維小麦の開発に着手

2020年9月10日

 日清製粉㈱(山田貴夫社長)は9日、健康に役立つ小麦の開発と商品化を手掛けるARISTA CEREAL TECHNOLOGIES PTY LTD(本社=オーストラリア・シドニー)と、一般的な小麦と比較して約5~10倍の食物繊維を含む高食物繊維小麦(ハイアミロース小麦)の輸入・販売に関して共同で取り組むことを発表した。日清製粉は今後、国内における独占的なARISTA社のパートナーとして、高食物繊維小麦を活用した健康に役立つ商品の研究開発を開始する。

 ARISTA社は、農家によって設立・運営される世界的な小麦育種組織である協同組合Limagrainと、オーストラリアの国立科学機関であり世界最大の研究機関の1つであるCSIROにより設立された合弁会社。両社は20年以上前に小麦澱粉の基礎研究において協力を始め、消費者の健康に直接役立つ小麦の開発と商品化に向けて、2006年にそれぞれの持つ力と専門知識を併せた取り組みを開始した。

 日清製粉によれば、ARISTA社が開発した高食物繊維小麦は、自然交配により育種された、難消化性澱粉(レジスタントスターチ)を非常に多く含む小麦。難消化性澱粉は「健康なヒトの小腸内で消化吸収されない澱粉及び澱粉分解物の総称」と定義され、食物繊維の一種とされている。この高食物繊維小麦を小麦粉にした際、一般的な小麦粉の約5~10倍の難消化性澱粉=食物繊維を含むことになるという。食物繊維は、物理的に腸管を刺激すること、およびプレバイオティクス効果を介して、健康機能に寄与することが知られており、プレバイオティクス効果には、①食後血糖値上昇抑制、②腸内環境の改善、③脂質代謝改善、などの効果が報告されている。

 日清製粉では、「食物繊維の摂取推奨量は、『一般成人で1日当たり男性21g以上、女性18g以上』とされているが、実際には15~20gしか摂取できていないとの調査結果(平成30年国民健康・栄養調査)もある。現在、様々な食品に使用されている一般的な小麦を、この高食物繊維小麦に置き換えることで、不足している食物繊維を美味しく、容易に摂取できるようになることが期待される」とコメントしている。

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