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弘前大等が「トノサマバッタの食料利用に関する共同研究」を開始

2020年9月4日

 昆虫食を専門とした事業を行う合同会社TAKEO(東京都台東区)と、国立大学法人弘前大学農学生命科学部環境昆虫学研究室の管原亮平助教は、「トノサマバッタの食料利用に関する共同研究」を開始した。

 管原助教はトノサマバッタ飼育に関する基礎データ収集、飼育条件の最適化、専用ドライフィード(乾燥飼料)の開発、食用品種の選抜育種など生産技術開発に取り組む。TAKEOは、同社の昆虫農業「むし畑」の屋外施設を用いて実証試験を行い商業生産技術を確立する。併せて加工食品開発や広報活動などを通じてトノサマバッタ食品の需要開発にも取り組む。

 現在、世界の昆虫食市場における主流は「コオロギ」とされている。コオロギは雑食性で飼料の調達がしやすく、かつ生育も早いために養殖がしやすいこと、食用昆虫としての市場が既にある程度形成されていることから、養殖昆虫として特に人気があるという。

 TAKEOと弘前大では「養殖のしやすさや市場規模の課題が克服できれば養殖昆虫の選択肢はコオロギ以外にも拡大する余地は十分にある。今回の研究開発により、トノサマバッタの養殖のしやすさはコオロギと同程度に、養殖にかかる環境負荷はコオロギより低くできる可能性があると考えている」と説明する。一般的なコオロギ養殖はその雑食性を活かした、栄養価の高い食料資源から栄養価の高い食料資源を生産する仕組みとされる一方、トノサマバッタ養殖では、栄養価が低いイネ科植物の葉だけで生産が可能であることから、両者では「イネ科植物には栽培した牧草や、自然界に大量に存在する多様な種を利用することができる」「トノサマバッタはコオロギと同程度のタンパク質を含む栄養価の高い食用昆虫で、トノサマバッタ養殖はその植食性を活かした、栄養価の低い〝非〟食料資源から栄養の高い食料資源を生産する仕組みであり、より環境にやさしい食料生産の一つであると言える」とみている。

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