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農林中金等がスタートアップ企業「グレンカル・シナリー」に出資

2020年7月27日

植物性の残渣由来のプラ製品普及を通じた社会課題解決目指す

 農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は22日、植物性の残渣由来のプラスチック原料の製造・販売に取り組むグレンカル・シナリー㈱(青森県弘前市、中石雅仁代表取締役社長、=シナリー社)に対して、「F&A(Food and Agri)成長産業化出資枠」(*)を通じた出資を行ったと発表した。 

 シナリー社は、独自の乾燥技術(レドックスマスター技術)を用い、青果加工等の過程で発生する植物性残渣から、バイオマスプラスチック原料を製造するスタートアップ企業。今回、農林中金、青森県農村工業農業協同組合連合会など6社が、乾燥機の現物出資を含む総額2億1百万円を出資し、シナリー社を設立した。今回調達した資機材・資金を活用し、残渣処理ニーズを抱える企業や循環型社会実現に取り組む企業との協業を開始する。

 シナリー社は、植物性残渣を主原料とし、従来に比して高品質・低コストであるバイオマスプラスチック原料を製造し市場に提供していく。植物性残渣の有効利用を進めるとともに、化石燃料由来のプラスチックからの代替を促進することで、脱化石燃料や温室効果ガスの排出削減を加速し、気候変動問題の解決に貢献する。

 農林中金では、「気候変動問題を農林水産業に負の影響を与える環境課題と認識しているなか、本出資は課題解決に挑戦するお客さまを支援し、ひいては当金庫の使命である農林水産業の発展に貢献するものと考えている。これからも農林水産業や地域社会、そして事業活動が持続可能なものとなるよう、投融資などの事業活動を通じて環境・社会課題の解決に貢献し、SDGsの実現をはじめとするサステナブル経営を推進していく」とコメントしている。

*……「F&A(Food and Agri)成長産業化出資枠」…農林中金が2016年5月、「農林水産業の成長産業化」への貢献の一環として、農林水産業の高付加価値化・生産性向上のため、系統団体および国内外の企業との協働、およびそれを支えるリスクマネーの供給を目的に設定した。

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