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畜産・酪農分野の新会社「ビオストック」を設立=NTT東日本等

2020年6月30日

 東日本電信電話㈱(=NTT東日本、井上福造代表取締役社長)とバイオマスリサーチ㈱(北海道帯広市、菊池貞雄代表取締役)は共同出資を行い、持続可能な畜産・酪農業の実現と地域活性化をめざし、畜産・酪農分野における新会社「㈱ビオストック」(帯広市)を7月1日に設立する。
 ビオストックは、バイオマスリサーチの小規模バイオガスプラントに、NTTグループのICT技術を活用した遠隔監視やオンサイト対応を組み合わせ、これまで導入のハードルが高かったバイオガスプラントを畜産・酪農家が利用しやすい「初期コスト不要、月額利用型モデル(ビジネスモデル特許出願中)」で提供。また、副産物として得られる消化液を有機肥料として活用するほか、NTTアノードエナジーとの連携により、バイオガスプラントから創出されるメタンガスや余剰熱を再生可能エネルギーとして活用することで、自治体・JA・畜産農家・地域企業とともに地域循環型エコシステムの構築に取り組む。さらに、糞尿処理以外の営農業務についても、遠隔で人手を介さない姿を実現すべく、IoT/AIを活用した高度な環境制御や、環境・飼育データの分析による最適な飼養管理システム等を、多彩なパートナーとの連携を通じて提供していく。

 これらの畜産・酪農関連ソリューションにより、人手不足や悪臭に伴う近隣からの苦情といった畜産・酪農家の悩みごとの解決とともに、バイオガスプラントから創出される有機肥料や再生可能エネルギーを活用することで、自治体・JA・畜産農家・地域企業とともに地域循環型エコシステムの構築に取り組んでいく。

 NTT東日本は29日にオンラインで記者会見を開催、ビオストック代表取締役社長就任予定の熊谷智孝氏が合弁会社設立の背景と目的を説明した。熊谷氏は「国内の畜産・酪農業に携わる農家数は直近30年で1/3に減少する一方で、1農家あたりの飼育頭数は約3倍に拡大しており、『収入拡大のために飼育頭数を更に増やしたいが、人手は増えないので、飼養管理以外の仕事は省力化したい』『近隣住民から悪臭に関する苦情があるため対策したい』『バイオガスプラントを導入すると糞尿処理の稼働や悪臭がなくなると聞いているが、導入コストが高く、自己資金・借入では対応が難しい』といった畜産・酪農家の声が多くある。このような背景を踏まえ、弊社とバイオマスリサーチは、昨年12月から実施している業務提携を深化させ、合弁により新会社を設立し、畜産・酪農業の課題解決に取り組むこととした」と会社設立の意義を説明。新会社ではバイオマスリサーチが既にバイオガスプラントの調査・導入支援を実施している自治体、JA、畜産・酪農家を中心に、ICTを活用した次世代畜産・酪農施設の提供・運営や、データ駆動型畜産・酪農関連ソリューションの提供を行うほか、バイオガスプラントから発生する余剰熱をNTTアグリテクノロジーが提供する大規模施設園芸で活用する等の研究を進めることなどを予定しており「NTTグループのアセットとバイオマスリサーチのノウハウをベースに、パートナーとの連携を通じて、畜産・酪農分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく」「次世代ICTソリューションを活用して畜産・酪農業のさまざまな課題解決をサポートしていきたい」と今後の展望を述べた。

㈱ビオストックの概要
【本社所在地】北海道帯広市
【事業内容】ICTを活用した次世代畜産・酪農関連施設(バイオガスプラント等)の提供、運営、データ駆動型畜産・酪農関連ソリューションの提供
【資本金】1億円
【株主】NTT東日本、バイオマスリサーチ
【設立年月日】2020年7月1日(予定)

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