JA全農は、令和2年産乾椎茸春子生産量を前年対比90%の1800tと決定したと発表した。全農と一般財団法人日本きのこセンターが、全国の観測点作況データの収集分析及び生産者からの聴取り調査等を基礎とし、さらにJA乾椎茸格付共選場で受入した品柄別状況などを加味して生産量と品柄比率を決定したもの。
全農では、▼昨年は、全国的に平均気温が高く推移し、原基形成時期の9月から10月にかけての降水量は、平年に対し東日本では多く、西日本では少なかった。暖秋の影響により中温性・中低温性品種は芽切りが例年より10日から15日程度遅れ、低中温性品種は11月下旬に芽切りが始まった。それぞれ発生時期の降水量が少なく、芽切りや成長に必要な水分を確保できず秋子の生産量は少なかった。12月下旬にまとまった降雨があり、一斉に発生したが、その多くは収穫されることなく越年した、▼1月に入っても、西日本の主産地では気温が高く推移し、降水量も多かったことから越年した芽が順調に収穫された。2月も気温は高く、周期的な降雨もあり継続した収穫となった。例年であれば収穫のピークを迎える3月も同様の状況で、多くの産地でピークらしい時期はなかった。4月は日中と夜間の気温差が大きく、適度な降雨もあったため、各地で追い芽が期待されたものの藤子の収穫は少なかった、▼品柄状況は、集中的な発生がなく採り遅れは少なかったものの、周期的な降雨の影響を受け雨子も多かった。一部の産地では特用・バレ系の比率が少なく、不安定な天候下でも早い段階から雨よけやビニール被覆・散水などの栽培管理を的確に実施した生産者は、生産量・品質ともに確保することができた、▼今年の作柄の特徴としては、近年の傾向だが、産地間及び個人差が大きく、記録的な暖冬の中、生産量を左右する2年ほだ木からの発生のバラつきが大きかった。全国的に降雪量が少なかったこともあり、古ほだ木からの発生は少なかった、と説明している。
なお、全農では、近年、天候不順が頻発する中、安定した収量及び品質を確保するために、間伐・枝打ちや防風垣の設置などほだ場の環境整備や、散水設備の導入、袋掛け・ビニール被覆などに積極的に取り組み、収量のアップと品質の向上を呼びかけている。