環境省はこのほど、ESG金融の更なる拡大に向けて、間接金融の主体である都市銀行、地方銀行、信用金庫等の金融機関を対象に、ESG金融の取扱状況に関する調査を初めて実施した(送付数372、回答数192、回答率51・5%)。
●…56%の金融機関は、環境・社会に好影響を与える案件組成に向けて多様な取り組みを行っている。多くの金融機関は、再生可能エネルギー、とりわけ事業用太陽光発電に融資の実績がある。
●…概ねESG/SDGsを認知しており、過半数は経営課題として認識。過半数は投融資方針の策定や仕組み化の必要性を感じているが、具体的な取組は少数。体制整備は、一部の金融機関で進められている。
●…31%の金融機関がESG要素を考慮した評価(審査)を実施している。もっとも、多くの場合で明確なルールはなく、案件ごとに担当者の判断に委ねられている。
●…34%の金融機関はESG関連の金融商品を提供しており、主として顧客との会話のツールに役立っている。
●…52%の金融機関は、ESG金融やSDGsを経営課題として認識。金融機関は、ESG金融の取組に複数のメリットを感じている。ESG要素を考慮した案件組成・評価を行っている金融機関では、案件発掘やリスク軽減を中心に、より強くメリットを認識。
●…25%程度の金融機関は、優先的に取り組むべきSDGsや課題の決定、SDGs宣言を表明。55%の金融機関は投融資方針の策定に必要性を感じているが、策定済みは7%。
●…ESG/SDGsに取り組む部門を設置した金融機関は、12%(22先)と少数。26%の金融機関は、ESG要素を考慮した案件組成のため、担当者(兼務含)の配置や専門部署の設置をした一方、評価・モニタリングのため同様の体制整備を図った先は8%。
●…57%の金融機関は、ESG要素を考慮した評価について仕組み化の必要性を感じているが、具体的な取組は6%にとどまっている。
調査結果について環境省では「多くの金融機関がESG/SDGsの取組を将来的な成長領域と認識しつつも、新たな顧客開拓やリスク低減等、自身の利益に直結するという共通の認識を持つところまで浸透してはいないという結果等が得られた」等としている。
欧州を中心に国際金融市場では、ESG(環境、社会、ガバナンス)要素を投融資判断に加えることがスタンダードになりつつあり、ESG金融が急速に拡大している。