国交省は、新型コロナウイルス感染拡大に関連し、タクシーによる貨物運送を特例的に認めることとし、21日付で各地方運輸局等に通知を発出した。
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、飲食業の店内での営業自粛が行われていることに関して、飲料・食料等の配送に係るニーズが増加したことから、タクシーのリソース活用の提案があったとして検討していたもの。道路運送法に基づき、緊急事態宣言期間に調整期間を加えた5月13日まで、安全管理能力等も踏まえ、タクシー事業者が、国交省の許可を受けた上で、有償で貨物運送することを特例的に認めることとした。
具体的には、「旅客需要減少下においても従業員の雇用の維持に努力し事業継続に取り組んでいる」及び「体温測定を含む点呼など、乗務前の運転手の健康管理を適切に行っていると認められる」ことに該当するタクシー事業者が対象。運送する貨物の種類は、店内での飲食等の提供を自粛している飲食店等から運送の委託を受けた飲料、食料など、公共の福祉を確保するためやむを得ないものとして、運輸支局長が認めるもの。運送する貨物の数量はトランク内に収容可能な範囲内とし、積載場所はトランク内に限るとしている。貨物運送を行う区域は、許可を受けた一般乗用旅客自動車運送事業に係る営業区域内に限定。貨物運送中は車体前面に「貨物」と表示した表示板を掲示すること、旅客と貨物を同時に運送することはできない、等としている。
赤羽一嘉国交大臣は同日の定例会見で、タクシーによる貨物運送を特例的に認めることを明らかにした上で、「大変な状況だと思うが、公共交通機関として大きな使命を持っているタクシー業界が頑張れるように、また、雇用の確保をしてもらえるように、政府を挙げてしっかり取り組んでいきたい」「お弁当など細かな宅配のニーズがあり、トラック事業者では対応ができない現状の中で、タクシー事業者は、小回りも利くし、安全管理もしっかりしている」と語った。