中央酪農会議は16日、指定団体・全国連実務責任者会議を開催した。迫田潔専務が新型コロナウイルスによる影響等、生乳業界の状況について説明した。同会議は、新型コロナ感染拡大による影響の長期化を受け、当面の対応の協議が重要なことから、テレビ会議で行われた。迫田専務は要旨以下のように語った。
●…緊急事態宣言が出されるほど、過去に経験のない異常事態のなか、国による学乳停止への支援対策が講じられたことなどを踏まえつつ、生乳廃棄が生じないよう、指定団体・全国連が十分な連携を行い、広域流通生乳の調整など、最大限の努力をしてもらった。この結果、生乳流通に大きな混乱は生じていない。本会議としては、学乳停止によるリスクが生産者のプール乳価の低下として顕在化しないよう、学乳対策の実施主体となり、最大限の支援を実施して行く予定だ。
●…4月に入り、緊急事態宣言が出された結果、休校が延期され、夏休み期間を超える2か月以上の学乳停止の状況になって来ている。また、業務用需要が減少しているなかで、今週からは、コーヒーチェーンも含めた外食産業の営業休止などが広がっており、生乳需給は、綱渡りの状況が続いている。本会議としては、学乳対策の対象期間が、5月6日まで延長されたこともあり、引き続き同様の支援を行うとともに、緊急的な対応の必要性を感じている。
●…脱粉在庫量が増加傾向にあり、今後の生乳生産の阻害要因になるのではないか?との報道がなされている。少なくとも学乳休止に伴い生じた脱粉は、補助事業により、全国連、指定団体の努力のもと、飼料用に転用する方向で動いてもらっている。今後も、新たに措置された緊急経済対策も含め、生産者団体として、最大限、取り組んで行く必要があると考えている。
●…生乳生産者からは、万一、新型コロナウイルスに感染した場合の経営の継続性の確保に関する不安の声が上がってきている。このため、緊急経済対策では、経営継続を確保するための酪農ヘルパーなど、代替要員の確保などへの補助事業も措置してもらった。
●…これまでの生産基盤強化の取り組みが、ようやく、実を結び始め、かつ、新たな「酪肉近」において780万tの生産目標数量が示されたなかで、今回の事態が発生した。生乳需給は、4月に入り、3月以上に急速に悪化している。農水省では、今後とも、状況に応じた適切な対策を打ち出してもらえると信じているが、指定団体を中心とした生産者組織としても、全国が一体となって『生産者が安心して生乳生産に取り組める環境を作って行くこと』を最優先に取り組むことが重要だ。