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令和元年農業景況DIは改善の動き、プラス値に転換=日本政策金融公庫農林水産事業調査

2020年4月8日

 日本政策金融公庫農林水産事業はこのほど、融資先の担い手農業者を対象に実施した「農業景況調査(令和2年1月調査)」の結果を公表した。調査対象はスーパーL資金又は農業改良資金の融資先のうち1万9085先。有効回収率は35・0%。なお、この調査における見通しの回答には、新型コロナウイルス感染症の拡大によるイベントの自粛や入国規制などの影響は考慮されていない。調査結果のポイントは以下の通り。

 ●…令和元年の農業景況DIは6・0となり、平成30年(▲11・1)から17・1ポイント上昇、プラス値に転換。販売単価DI(2・1→▲6・9)は、露地野菜や施設野菜、肉用牛などの相場が下落したことで、マイナス値に転落した。生産コストDI(▲37・1→▲38・8)は引き続き大幅なマイナス値で推移。一方で、収支DI(▲20・1→▲1・5)と資金繰りDI(▲4・7→0・4)は、前年の天候不順や自然災害により各種DIが悪化していた稲作、畑作でプラス値への回復が確認されている。
 ●…業種別の景況DIをみると、稲作(北海道/▲51・8→26・5、都府県/▲10・7→11・4)は、前年の天候不順や自然災害の影響による景況悪化から回復し、景況DIはプラス値に転じた。また、酪農(北海道/25・0→30・3、都府県/2・5→8・4)は、近年の乳価の上昇を背景に平成27年以降プラス値で推移している。養豚(▲27・2→▲4・1)は、軟調に推移していた豚価が今年は回復基調に転じたことで、景況DIは改善した。一方で、施設野菜(▲1・4→▲22・4)は販売価格の下落により景況DIが大きく低下した。採卵鶏(▲61・2→▲38・9)は、令和元年後半からの価格の回復を受け、景況DIのマイナス幅は縮小したものの、引き続き大幅なマイナス値となっている。
 ●…令和2年の農業景況DI(6・0→2・7)は、プラス値を維持しつつも、やや慎重な見方となる見通し。酪農(都府県/8・4→18・4)は堅調な乳価を背景に引き続きプラス値を維持する見通し。また、採卵鶏(▲38・9→22・4)は、令和元年の後半から価格が回復基調に転じたこともあり、景況は大幅に改善する見通し。一方で、令和元年に回復の動きがみられた稲作(北海道)及び畑作の先行き(稲作:北海道/26・5→▲2・1、畑作:31・6→▲6・9)は、慎重な見方となっている。また、平成27年以降好調が続いていた酪農(北海道/30・3→1・1)は、プラス幅が縮小する見通し。肉用牛(▲0・2→▲12・3)は販売価格が下落傾向にあり、景況DIも低下する見通し。

*DI(Diffusion Index=動向指数)は、前年と比較して「良くなった」とする回答の割合から、「悪くなった」とする回答の割合を差し引いた値で、上向き、下向きといった方向感を捉える指標。

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