農林中央金庫と全森連は27・28の両日、都内で「第7回施業高度化サミット」を開催した。同サミットは、農林中金が創立80周年事業として創設した「公益信託 農林中金80周年森林再生基金(FRONT80)」、26年度からの後継基金である「公益信託 農林中金森林再生基金(農中森力基金)」の助成を受けて先駆的な取組を行っている森林組合が一堂に会し、森林の集約化施業等のノウハウを共有するための催し。基金助成先の森林組合・連合会、非助成先の森林組合等から約80名が参加した。
全森連の肱黒直次代表理事専務と農林中金の岩曽聡常務執行役員がそれぞれ主催者挨拶した。
肱黒氏は「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」の成立・公布、「森林経営管理法」の施行など森林・林業を巡る情勢に触れ、「今後各市町村ごとに地域の森林管理、長期のビジョンづくりができる条件が整った。地域の森林所有者を代表した組織である森林組合が中心となり、これからの持続可能な地域の森林管理のビジョンを作り上げていただきたい」と述べた。また「国産材活用・国内の森林事業に応じていこうという動きが広がっている」「(令和)3年度から始める新運動の方針を今協議している。大きく変化した林業を取り巻く動きの状況下で(方針を)どう作るか、このサミットでの意見も踏まえ、今年秋の全国森林組合大会で提案したい」と今後の方針を示しながら、林野庁が森林組合の経営基盤強化のため、今国会に提出予定の改正森林組合法について触れ、「これからは地域住民、地域行政、地域の関係する業界等とともに、維持できる山村社会を作っていく組織に変っていくだろう」と語った。
岩曽氏は「森林経営管理法」等について「この新しい制度の円滑な運営にあたっては、森林組合系統の施業管理の拡大が見込まれる。これまで取り組んでいた施業集約化、低コスト化、効率的な木材生産をより発展させていくことが大切」と述べ、「それぞれの団体が試行錯誤しながら施業の現場で培ったノウハウ・課題を参加者で共有し、優良な取組事例を全国に案内することで、森林組合系統がさらにレベルアップし、本制度の対応に繋がる一助になれば」とセミナーの趣旨を説明した。
サミットでは三重・中勢森林組合(テーマ=新たな森林経営管理制度に伴う委託事業)と石川県森林組合連合会(ドローンを活用したスマート林業への取組み)による取組事例発表、「施業集約化の効率化」「条件不利地での作業の効率化」「森林経営管理制度にかかる取組状況」の3テーマに分かれてのグループ討議・発表が行われた。