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JAバンク相談所が全県域移管後初の連絡会議、県域と情報共有

2019年12月6日

 一般社団法人JAバンク相談所(石川克則代表理事)はこのほど、東京・大手町のJAビルで「2019年度JAバンク相談所全国連絡会議」を開き、信連・農林中央金庫などJAバンク関係者50余名が参加した。

 全国連絡会議は、今年9月末に全県域から運営移管完了後初開催。2019年度上期業務実績の報告や金融ADR制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)、利用者からの苦情等対応にかかる留意事項の説明が行われた後、税理士法人アーク&パートナーズから「相続・高齢者にかかる金融取引の留意事項」をテーマに特別講演があった。出席者は情勢報告や講演を通じて課題や問題点などの情報を共有するとともに、活発な意見交換を行った。

 大森政彦所長はあいさつで「全県域の皆さまと直に接して説明する機会をいただき、留意事例や当法人の運営、金融ADR制度について共有したい。皆さまの意見を今後の運営に活かしていきたい」と開催趣旨を説明。また同法人の設立趣旨・役割を改めて強調するとともに、全県域移管後の体制について「当法人は、今後も全国集約化による機能発揮と効率的な運営に向け取組みを進める。相談員の対応力向上を図るとともに、利用者の目線から見て留意すべき事例を分析し、JAバンクの業務やサービス改善に貢献できるよう努める」と述べ、「当法人の取組みや運営には、各県域やJAの状況に日々触れられている、現場の皆さまの協力が重要であると痛感している。日々注力されているJAバンク利用者保護や利便性向上の観点から、忌憚ないご意見を賜りたい」と呼びかけた。

 JAバンク相談所は、公正かつ中立な立場でJAなどが行う貯金・融資等の信用事業の業務に関する利用者からの相談、苦情及び紛争の申し出を受け付け、その解決等に向けた支援を行っている。JAバンク利用者の生の声を聴き応対方法などを分析・検証、農林中金に上期13件の提言を行い、JA事務・接遇の改善に繋げるJAバンク全体のPDCAサイクル強化を図っている。

2019年上期受付実績は1188件

 同法人の2019年度上期の受付実績は1188件(全県域合計ベースで前年同期比▲372件、同▲23・8%)に減少。うち苦情は221件(同+2件、同+0・9%)と横ばい、相談は967件(同▲374件、同▲27・9%)に減少した。苦情のうち、業務別割合では、貯金は60%、融資は24%と8割台半ばを占め、内容別割合では、相続は17%、高齢者は8%と2割台半ばとなっている。

 また、同法人単体での相談件数は、1111件(全中相談所・同法人計前年同期比+753件、同+210・3%)、うち、苦情216件(同+152件、同+237・5%)、相談895件(同+601件、同204・4%)と大幅に増加している。

JAバンク相談所》昨年4月中立的機関として設立。昨年5月以降、全中、各県域の中央会系統で担ってきたJAバンク苦情相談解決支援業務を5次に亘り、同法人と信用事業系統に移管。今年4月には専任相談員を増員して体制を強化した。

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