ウッドソリューション・ネットワーク(WSN、事務局=農林中金)はこのほど、都内で通常総会を開催し、運営体制の見直しや役員の選任等を行った。WSNは、木材関連産業界と学界が協働し木材利用拡大を目的に2016年に創設された組織。今年9月で当初予定していた3年間の活動期間を経過し、新たな活動期間に向けたテーマと運営体制が検討されてきた。これまで事務局と一部の会員が企画・運営機能を担ってきたが、WSN会員全体が参画していくため、「会員企業による共創」を実現できる体制づくりとして、会員企業が企画段階から主体的に関与できる仕組みを導入した。
総会で決定したWSNの新たな運営体制は、①総会付議案件等の協議を行うため運営委員会を新設、②総会決議に沿った具体的取組事項の企画、各分科会活動の進捗確認等を行うため幹事会を新設、③ワーキンググループを分科会へ統一、等。総会では任期満了に伴う役員の改選を行い、関本暁会長〔住友林業㈱常務執行役員資源環境事業本部長〕、杉田理之副会長(ナイス㈱代表取締役社長)を再任、新副会長に野村孝伸氏(大建工業㈱上席執行役員総合開発本部長)を選任した。照林尚志副会長は退任。運営委員会委員には、井上雅文氏(東大アジア生物資源環境研究センター教授)のほか、関本会長、野村・杉田両副会長が就いた。
農林中金の岩曽聡常務執行役員は、WSNの3年間の成果として「構造材アプローチブック」の制作・発刊などを挙げ、「活動の成果があがってきたが、木材利用という設立目的の実現に向け、さらに成果物の普及・定着化をめざしたい」と語った。関本会長は、木材自給率の向上、森林経営管理法の施行、森林環境税の成立・公布、建築基準法の改正等の林業を取り巻く情勢を紹介しながら「この業界(林業・木材産業)にはフォローウインドが吹いていると思っている。WSNも第2クールに入り、フォローの風をしっかりと受け止めて、木材の利用発展がますます加速するように、これからも尽力をしていきたい」と述べた。
《ウッドソリューション・ネットワーク》川上・川中・川下のウッドバリューチェーン全体を俯瞰し、各工程における様々な課題を解決していくことを通じて、国産材を主体に木材利用の拡大を目指す。林業生産者団体や、木の加工・流通に従事する製材会社・商社、木を利用するハウスメーカー等、木に関わる31の関連企業等で構成。現在は、①非住宅分野における構造材としての木材利用推進分科会、②非住宅分野における内装材としての木材利用推進分科会、③生産現場と需要側の相互理解深化・促進分科会の3つの分科会を設置している。