日本農村医学会の第68回学術総会(学会長=菊池英明JA北海道厚生連帯広厚生病院長)が17日、北海道帯広市内で開幕した。北海道での開催は17年ぶり。「北の大地で、今と未来の地域医療を考える」をテーマに設定し、特別講演4題、教育講演2題、ワークショップ2テーマのほか、一般演題375題、研修医セッション28題などが行われる。18日まで。
特別講演の講演者は、吉岡充弘北大大学院医学研究院長・医学院長・医学部長(テーマ=北海道大学医学部と地域医療機関との連携―シームレスな卒前卒後の医学教育に向けて)、三浦哲嗣札幌医科大医学部長(糖尿病による心不全の病態と治療)、小熊豊(公社)全国自治体病院協議会会長(医師の働き方改革を巡る課題)、徳田禎久(公社)全日本病院協会常任理事/社会医療法人禎心会理事長(不足する病院薬剤師の確保―北海道の薬剤師配備の現状から見た課題と解決方法の共有)、の4氏。教育講演の講演者は、小川晴子帯広畜産大獣医学研究部門基礎獣医学分野応用獣医学系教授(テーマ=人獣共通感染症としてのインフルエンザ)、成松英智札幌医科大医学部救急医学講座高度救命センター教授(農業地域の救急・災害医療)の2氏。学会メインテーマに沿ったシンポジウム「地域医療におけるICTの活用」も行われた。
菊池学会長は、「地域医療、医療機能と病院設計」と題して講演、その中で、2009年の病院新築の議論で、データに基づいた現実と将来推計を踏まえて高度急性期・急性期病院としての機能を果たすべきことを再確認し、新病院設計を進めたこと、急性期医療需要の減少を見越した減床と更なる減床個室化を可能とする多床室設計、地域がん診療連携拠点病院としての診療設備の高度化、災害拠点病院として災害に対する強靭化を図ることなどを設計に織り込んだことなどを紹介した。
「金井賞」に上士幌町保健福祉課 また総会では、学会賞、金井賞(元JA全厚連専務の故金井満氏の遺志により、農村の保健・医療の向上に功績をあげた、医師以外の会員が対象)などの表彰が行われ、金井賞は上士幌町保健福祉課(北海道河東郡)に贈られた。
上士幌町は、基幹産業である農業者の健康管理を充実させるため、地元JAや基幹病院などと協力しながら、積極的な住民健康管理システムを構築しており、健康増進法による特定健診受診率の向上をはじめ、数々の成果を上げながら地域の農業者の健康管理に貢献してきた。平成30年度の組合員健診受診率はほぼ100%だが、健診未受診の町民に対しては積極的な個別受診勧奨を行い、さらなる受診率の向上に成果を上げた。また、巡回健診会場に託児所の設置や地元ボランティアの協力による健診後のブランチの提供などを実施しながら、健診をより受けやすく且つ効果的に運用する取組も進めている。