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握力とバランス能力の低下が骨折の危険因子に=共済総研・東京医科歯科大

2019年3月26日

 JA共済総合研究所と東京医科歯科大学は共同研究の成果の一つとして、「握力とバランス能力低下が骨折の危険因子になる」ことを明らかにした。

 JA共済総研では農山漁村地域の事故医療等に関する調査研究として地域で起きる事故(交通事故、転倒事故)によって生じる外傷に関する医学的・社会医学的研究を行ってきた。運動器疾患をより多角的に解明し予防することで、超高齢社会における農山漁村の地域住民ひいては国民の健康維持・増進に寄与することを目的に、平成二八年度からジョイントリサーチ講座(運動器機能形態学講座)を設置し、東京医科歯科大と協働で運動器の構造、機能、転倒事故予防に関する研究を行ってきた。

 今回の研究は、手関節骨折患者の解析を通して、握力や身体バランス能力の低下が転倒・骨折のリスクとなること、あわせて骨折が連鎖するドミノ骨折リスクを評価するスクリーニングとして、握力やバランス能力測定が有効である可能性を示したもの。初発の脆弱性骨折とされる手関節の骨折は、やや若年の四~五〇歳代から発症し、適切な介入をしないとその他の部位の骨折が連鎖することが知られていたが、どのような人が骨折をするのか、骨折後にどのような体力状態になるかについては不明なままだった。また、脆弱性骨折の患者数は年々増加しており、目の前の患者の治療だけでは立ち行かなくなる状況が想定されていた。研究では五〇歳くらいの比較的若い世代から、握力や体幹バランス能力が低下しはじめることが判明。いわゆる、フレイル、サルコぺニア、ロコモティブ症候群といった運動能力の低下による骨折の危険が、高齢者のみのリスクではないことが示された。

 一九日、東京医科歯科大学附属病院で行われた記者会見で、この研究論文が英国の骨粗鬆症に関する国際医学学術誌「Osteoporosis International」への掲載が発表された。
 同大学の大川淳病院長は「私どもの整形外科とJA共済総研との共同研究の結果、大変興味深い成果が得られた。雑誌は骨粗鬆症関連としては海外でも一流紙である。今後はこの成果を基に予防的な動きを進めていければと考えている」と述べた。

 JA共済総研の加藤龍一理事・医療研究センター長は、「今後の展望としては、転倒、骨折のリスクとなりうる歩行中のバランス低下の可視化を目指して新たな研究を始めており、予防運動プランなどを構築していきたい」「既存の予防体操やその指導にとどまらず、情報工学や環境工学、建築学等を応用し、日常の生活の中で無意識に運動維持に役立っている行動や生活習慣を明らかにし、可視化することによって、実生活レベルでの運動機能の維持増進方法を創出していきたい」「また解剖学的な成果として得られた『関節の安定化構造』の理解から、構造と機能の融合をめざして、画像診断精度の向上やリハビリテーションプロトコールの開発などにも参入していきたいと考えている」とコメントしている。

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