日本農業の発展と農業経営の安定、農村・地域振興、安心・安全な食料の安定供給の視点にこだわった報道を追求します。

〈蔦谷栄一の異見私見〉日本農業の運命は、消費者にかかっている!

2026年8月5日

 本稿見出しは、7月20日に篠原信氏が、SNSで発信した「日本農業の運命は、国民の99%以上を占める消費者にかかっている」のタイトルを短くして引用したものである。この情報が話題となってシェアを繰り返されて拡散し、私のfacebookにも届いた。

 その訴えるところは「ここ二週間ほどで日本農業の運命が決まる。」「このままでは、コメの価格は暴落するだろう。すると『やはりコメ農家では生活していけない』と絶望し、一気大量にコメ農家が廃業するだろう。そして廃業した分の田んぼを、残る大規模農家が受け止めきれず、多くの田んぼが放棄されることになるだろう。その結果、日本人全員にコメを供給するだけの田んぼの面積を確保できず、……慢性的にコメ不足となり、日本人の多くが日本のコメを食べられなくなり、海外の安い食料を食べざるを得なくなるだろう。」

 引用が長くなって大変恐縮であるが、さらに続けさせてもらう。「ここ二週間、無策のままコメ価格が暴落するに任せれば、日本のコメ生産は致命的な打撃を受けることになるだろう。金持ちの外国人と一部の日本人は食べられても、多くの日本人は気軽には食べられない贅沢品になってしまう恐れがある。」そして「高市総理は、消費者がコメ価格が安くなることを期待しているだろうと見込み、農水大臣が備蓄米の買戻しをしてはどうかと訴えたのだけれど、それを退けたという。そう、高市総理は消費者の『決定』に従っているだけ。もし消費者自身が『コメ』を今後も食べ続けるため、コメ価格をある程度買い支えてほしいと訴えれば、高市総理は方針を変える可能性がある。ここ二週間で世論を変えられるかどうかが決め手となるだろう。」そのうえで最後の方で「この状況を打破できるのは、消費者だけ。消費者から『コメの暴落を防げ! コメを今後も食べ続けられる国で居続けるために!』と訴えてもらうより方法がない。日本農業の運命は、消費者が握っている。国民の99%以上を占める消費者が。」と訴え、消費者に「熟考」を促している。

 篠原氏の情勢分析は的確であり提言には大賛成だ。選挙を通じての政治の世界は、消費者・市民の声がなかなか反映され難い現状からして、確かに国民のほとんどである消費者がSNSを活用して、日本農業維持の声を高市総理に直接届けるのは妙案であり最後の切り札かもしれない。篠原氏の情報発信日が7月20日、本紙の発行が8月の5日で、「二週間」を超えてはしまうが、できるだけたくさんの声を届けていくことが肝心だ。

 関連して7月の21日に高市政権は骨太の方針を閣議で決定した。その原案では新たな水田政策や農地管理中間管理機構の機能発揮などの施策を通じて、担い手の確保や田畑のフル活用を進めると明記されていたが、修正案では経営安定対策の実施、植物工場や陸上養殖などのフードテック、さらにはみどりの食料システム戦略の加速化が追加された。骨太の方針に一概に反対するものではないが、今、日本の稲作の現場は、生産を継続できるか、裏を返せば国民・消費者が食べ続けられるかの瀬戸際に置かれており、政治と現場の距離は大きい。もはや消費者の直接の声で変えていくしかないところまで追い込まれている。

(農的社会デザイン研究所代表)

日本農民新聞 2026年8月5日号掲載

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