(一社)日本有機農産物協会は6日、東京・港区の東京療院新館で、設立発表会および記念講演会を開催した。
同協会は、日本オーガニック・エコ農産物物流協議会を前身に、有機農産物の生産・流通拡大を目的として今年4月25日に発足。参画企業は、㈱エム・オー・エー商事、オイシックス・ラ・大地㈱、㈱コープ有機、㈱シェアガーデンホールディングス、㈱自然農法販売協同機構、㈱ビオ・マーケット、(一社)フードトラストプロジェクト、㈱マルタ、(一社)MOA自然農法文化事業団、㈲やさか共同農場の10社。初代理事長には、関信雄氏(ビオ・マーケット取締役会長)が就任した〔写真は設立メンバー10社、前列中央が関理事長〕。
冒頭、農水省生産局農業環境対策課の及川仁課長は、「平成29年度の有機農産物市場は約1850億円と推定され、同21年度比約40%増となっているものの、農業全体から見ると、栽培面積は約2万3千haにとどまりまだまだ限定的といえる。有機農業の発展には、生産者の手取りを維持しつつ小売価格を下げる必要があり、流通コストの削減が不可欠な要素になる。日本有機農産物協会の設立は、当に時宜を得た取組みであり、有機農業ビジネス全体の発展に向けた活動と農政への提言を期待している」と祝辞を述べた。
続いて挨拶に立った関理事長は、「生産者や消費者とともに有機農業の持続的な発展に向け、サプライチェーンの最適化により有機農産物の生産・流通を拡大していくことが目的」と設立趣旨を説明。そのために、①有機農産物を効率的かつ最適な方法で届ける仕組みの研究活動としてのセミナー・研究会開催、②ロジスティック・シェアリングの実現、③有機農産物流通の業界規格の構築、④有機農業の実態や市場規模の把握、⑤有機農業の生産者や実需者への情報発信やサービスの提案―と5つの活動計画を説明した。
記念講演は、秋田県立大学の酒井徹准教授による「日本の有機農産物流通の動向と課題」。酒井准教授は、内外の有機農業、有機農産物流通の現状を述べるとともに、新たな有機農産物市場の開拓や持続的な消費拡大、生産者の育成、並びに関連団体の相互理解と協力の促進など、同協会の今後の活動に期待とエールを送った。
また平成30年度オーガニック・エコ農産物安定供給体制構築事業での活動実績、平成31年度有機農産物安定供給体制構築事業への取組みなど今後の活動計画が報告され、幅広い企業からの新規加盟を呼びかけた。