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ロゼットを起こしづらい性質のトルコギキョウ開発=サカタのタネ

2022年7月26日

 ㈱サカタのタネはこのほど、国内外で流通量が増加しているトルコギキョウで営農課題になっている開花が遅くなる生理現象のロゼットを起こしにくい性質を持つロゼットレスタイプを開発したと発表した。商品としては海外で1年後の販売を予定している。
 トルコギキョウにおけるロゼットは、高温条件下での育苗などにより発生する節間が短く葉が重なる現象で、茎が伸びず切り花の収穫ロスになるほか、商品性低下、栽培期間の長期化につながり、経営に影響を及ぼしている。これまで高温期の育苗でロゼットを回避する方法としては、種子冷蔵、苗冷蔵、冷房育苗などの栽培管理により行っているため、空調設備の設置や天候にあわせた温度管理など費用と労力が掛かっていた。
 今回開発したロゼットレスタイプのトルコギキョウは品種にロゼットを起こしにくい性質を付与したもので、千葉大学で行った試験において、種子冷蔵の有無に関わらず高温条件下の育苗で高い抽苔(茎の伸長)率を示した。開発はイスラエル・ヘブライ大学の技術移転会社イッスム社の特許技術を使用した通常育種で行ったもので、サカタのタネは「遺伝的な因子を突き止め、品種の力でロゼットレスにできた」「順次、当社品種にロゼットレス因子を導入していきたい」と話す。
 このロゼットレス品種により、生産管理の省力化、冷蔵設備や電力コストの削減ができるほか、種子や育苗の冷蔵処理ではロゼット回避効果が持続しなかった2番花でも採花の確実性が向上し、これまでトルコギキョウ栽培が難しかった地域での生産も期待できるという。
 サカタのタネは「トルコギキョウのリーディングカンパニーとして、世界中の生産者の方により安心して栽培いただけるよう本品種の製品化を進めていく」とコメントする。

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