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農地取得特例措置を2年間延長、改正国家戦略特区法を可決=衆院本会議

2021年4月21日

 兵庫県養父市のみに認めている民間企業による農地取得の特例措置を2年間延長する「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」が15日の衆院本会議で可決、参院に送付された。

 同法案は、

①農地法の特例として、農業委員会が一定の要件を満たす法人に対し、農地の取得を許可することができる現行の特例措置の期限を2年間延長すること、

②工場立地法及び地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の特例として、工場等の緑地面積の敷地面積に対する割合等について、市町村が周辺環境との調和の確保に配慮しつつ、条例で、これらの法律により定められた準則に代えて適用すべき準則を定めることができること、

③建築基準法の特例として、国家戦略特別区域計画の認定をもって、地区計画等の区域において条例で用途規制の緩和を行う際に必要となる国土交通大臣の承認があったものとみなすこと、

④中心市街地の活性化に関する法律の特例として、国家戦略特別区域計画の認定をもって、中心市街地活性化基本計画の認定があったものとみなすこと、等を主な内容としている。

 13日の衆議院地方創生に関する特別委員会において、同法案に対する以下の附帯決議が採択された。

一 養父市で実施されている法人農地取得事業について、農地を所有する目的及び効果を明らかにすること。また、弊害がないことのみをもって、直ちにこの制度の全国展開及び実施期間の再延長を前提としないこと。さらに、本法に基づく対象地域を検討するに当たっては、当該地域の農業経営及び農地の利用状況等について慎重に検討すること。
二 株式会社の農地所有を認めるに当たっては、当該農地等が目的外使用、転売又は開発行為等により荒廃すること等のないよう十分に配慮すること。また、近隣農家等の懸念・不安の払拭に努めること。
三 株式会社の農地所有を認めた後、農地の利用状況等について的確に監視するよう特定地方公共団体を指導するとともに、目的外使用等を理由に農地等の所有権を当該地方公共団体に移転するに当たっては、当該地方公共団体は住民の負担を軽減するよう努め、売買による場合においては適切な価格で取得するなど、当該住民に必要以上の負担とならないよう配慮すること。
四 令和三年度中に国家戦略特別区域以外においても政府が実施する法人農地取得事業に係るニーズと問題点の調査は、その実施目的を明確にし、全国展開を前提とするものでないこと。

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