農業用ハウス関連メーカーの誠和(下野市・大出祐造社長)と種苗メーカーのタキイ種苗(京都市・瀧井傳一社長)は17日、ハウスにおけるナスの多収化栽培技術を確立するための共同研究契約を締結したと発表した。8月から誠和本社の敷地内にある研究農場「リサーチパーク鶴」でタキイ種苗のナス品種『PC筑陽』の栽培を始める。
ハウス栽培では収量増大と品質向上を目的に高度な環境制御技術の開発が進展し、特に多収技術の普及が進んでいるトマトやレタスでは栽培延べ面積が維持・拡大している一方、多収技術が確立していないキュウリやピーマンなどは面積・生産量が減少している。ナスのハウス栽培も多収栽培、高度環境制御技術が確立していないことから、栽培延べ面積は過去25年間で550ha・34%の減少をしており、国内への安定供給に不安が増している。
タキイ種苗は、受粉作業が不要なナスの単為結果性品種『PC筑陽』を発売して手間のかからない栽培に取り組んでいるが、今回、栽培延べ面積が減少するなかでも生産量を維持するため、誠和がトマト栽培で培ってきた高度環境制御技術を用いて、PC筑陽での多収化栽培技術の確立を目指し、両社で共同研究に取り組む。栽培研究を行う「リサーチパーク鶴」では、面積160㎡の区画でロックウール栽培を行い、反収20tを目指す。スマート農業技術を活用して技術のデータ化を行い、ハウス内環境については携帯端末でデータを見られる誠和の「プロファインダークラウド」上で無料公開してナス生産者に有益な情報をリアルタイムで提供することにしている。
誠和とタキイ種苗は今回の共同研究について「両社の強みを活かし、施設園芸におけるナスの生産量を維持・向上させるべく共に研究栽培の取り組んで行く」とコメントする。