JForest全国森林組合連合会と農林中央金庫は、林業の成長産業化および持続可能な循環型の森林・林業経営を目的として、「低コスト再造林プロジェクト」を立ち上げた。
日本は、国土面積の約3分の2を森林が占め、総森林蓄積は52億に及んでいる。また、生物多様性の保全や二酸化炭素吸収による地球温暖化防止への貢献などの森林の有する多面的機能への注目も集まっている。日本の森林は戦後造林された人工林が中心で、その約半数が一般的な主伐期にあたる50年超を迎えつつあり、「伐って植える(再造林)こと」が必要な状況となっている。各地で主伐に取り組み始めているが、森林所有者の高齢化に加え、長く続く立木価格の低迷および再造林コストの高止まり等から再造林が難しい地域が出てきている。
こうしたなか、「植える→育てる→収穫(伐採)する→植える(再造林)」の健全な循環による持続可能な森林・林業経営にするには、再造林のコストを劇的に下げるパラダイムシフトが必要であるとして、今回、コスト半減(コンテナ大苗の利用による伐採と造林の一体作業)、伐期の短縮(早生樹の活用や低密度植栽により従来の50年から30年に短縮)、新たな販路開拓を視野に、「低コスト再造林プロジェクト」を立ち上げた。
同プロジェクトでは、「生物多様性や水土保全機能にも配慮した循環型の森林・林業経営のひとつの施業体系を目指す」としており、全国3か所(長野・根羽村森林組合、広島・三次地方森林組合、宮崎・都城森林組合)のモデル施業地で実証実験を行う。プロジェクトの実証実験の結果を踏まえ、その成果を全国へ波及させることで、主伐後の再造林が進み、森林の多面的機能が発揮されることを目指すとともに、これらの取組みを通じて、山村の活性化を図っていくとしている。
全森連と農林中金では「林業は気候変動の緩和・適応に貢献する産業であり、森林の適切な整備や保全等を通じて、森林吸収源対策を含む地球温暖化防止の取組みを推進していく必要がある。引き続き、森林整備等の取組みを通じた、SDGsの実現に向けて貢献していく」とコメントしている。