農林中央金庫千葉支店と一般社団法人千葉県農業協会は3日、県内農業者の所得向上に寄与することを目的にした今年度2回目の「農業セミナー」を千葉市内のホテルで開催した。今回のセミナーは、昨年県内に大きな被害をもたらした台風・大雨からの復旧・復興を念頭に置き、「台風・大雨被害を乗り越えて~ピンチをチャンスに変える取組み」をテーマに2部構成で行われた。県内農業者や農業関連団体関係者ら約80名が参加した。
冒頭、千葉県農業協会の長嶋透会長が「台風や大雨による被害、全国的なCSFの流行や暖冬等、次に何が起こるか見通せない状況だ」「災害時に自らの経営をいかに支えるか考え、今後のプラスにしてほしい」と挨拶した。
また農林中金の宮之原雅一千葉支店長が同セミナーの趣旨を説明。今回のテーマは「度重なる自然災害は千葉県の農林水産業に甚大な影響を与えた。農林中央金庫として、復旧・復興に向け、いかにお手伝いできるか考えながら皆様と向き合っていきたい」ことから設定し、「一つひとつが時宜を得た非常に重要な内容だ」「今後も経営上のお悩みやニーズに真摯に向き合い、共に成長していきたい」と挨拶した。
第1部では、日本農業法人協会岡山支部会長で㈱卵娘庵の藤井浩太郎事業部長が、「ピンチをチャンスに変える取組み~西日本豪雨を乗り越えて」をテーマに講演。岡山県で養鶏業を営む藤井氏は、2018年に発生した西日本豪雨で農場や地域が大きな被害を受けたため、事業再建へ制度を活用した農場の移設・再建等の対応を振り返った。日ごろから「綿密な会社の事業計画や、(会社で取り組みたい)将来の夢」を絶えず考えていたことが、被災直後に再建に向けた行動・意思決定ができた要因だと語り、また全国の仲間とのつながりで多様な情報を得ることができたと述べた。
第2部では、農水省経営局の玉置賢保険課長が「多発する自然災害と農業保険への加入の必要性」、千葉県農林水産部担い手支援課の武田雄介主任上席普及指導員が「農業用ハウスの保守管理および補強対策~千葉県農業用ハウス災害被害防止マニュアル」をテーマにそれぞれ講演した。
各講演の最後には質疑応答の時間が設けられ、取組み等の理解を深めた。