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厚労省に医師の偏在是正等を提言=地域医療を守る病院協議会

2018年9月21日

 JA全厚連など五団体で組織する「地域医療を守る病院協議会」は一九日、厚労省に「医師の偏在是正」や「総合診療医の養成」等を盛り込んだ「医師の働き方改革にかかる政府検討に向けた提言」を提出した。同協議会の議長である雨宮勇JA全厚連会長のほか、小熊豊全国自治体病院協議会会長、仲井培雄地域包括ケア病棟協会会長、中村純誠JA全厚連理事長が同省を訪れ、鈴木俊彦厚生労働事務次官に手交した。
 「提言書」は、「現在の医療提供体制」と「一般労働者と同様の労働法制」との間に不整合が生じていることから、医療提供体制をあるべき医療提供体制へと発展させ、労働法制を医師のプロフェッション性をふまえた労働法制とすることで、地域医療と医師の健康の両立をはかるため、必要な取組み等を提言したもので、大きく二項目で構成。「本提言をふまえ、地域医療と医師の健康を両立できる対応について、国民の理解が得られるよう、十分な検討を行うべきである」としている。
 一つ目の柱である『あるべき医療提供体制』は、地方ではすべての地域住民の医療へのアクセスが阻害されることのないよう、地域医療を守りつつ、医師の負担軽減につなげるため「速やかに管理者要件(医療機関の管理者となる要件として地方勤務を義務づけ)の対象をすべての医療機関へ拡大し、進捗状況を確認しつつ開業制限を検討する必要がある」、「地方の医師不足解消には、一定期間の地方勤務を含んだ地域枠出身者の将来のキャリアパスを確立する必要がある」等「医師の偏在是正」をはじめ、「総合診療医の養成」、「ICT等の活用」、「女性医師の働きやすい環境づくり」、等を提言している。二つ目の柱である『医師のプロフェッション性およびあるべき医療提供体制との整合性をふまえた労働時間規制の検討』は、「医師の過労を防ぐことは重要」、「地域医療の確保や医療の質に配慮した労働法制とする必要がある」として「医師の自己研鑽の重要性」、「宿日直の基準のあり方」、「地域医療への配慮」、等を盛り込んでいる。
 同協議会はまた、「医療機関における消費税負担の補填方法の再検討」を要請した。医療機関が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁できないため、医療機関の負担となっている。この負担については、消費税補填分を診療報酬に上乗せする対応が講じられているが、厚労省の分科会で「二七年に公表された補填状況調査の結果に誤りがあり、実際には補填不足が生じている事実」が明らかになった。要請書では、調査結果の誤りについて徹底した原因究明を行い、再発防止策を講じること、補填方法について再検討すること等を求めている。

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