JA全厚連、全国自治体病院協議会など五団体で構成する「地域医療を守る病院協議会」は八月三一日、都内で会合を開き、「医療機関における消費税負担の補てん方法の再検討についての要望」を九月中に厚労省に提出する方針を決めた。会合後の記者会見で明らかにした。
保険医療は消費税非課税のため、医療機関等が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁することができず、この補てんは診療報酬の増額によって行われている(控除対象外消費税問題)。七月二五日に行われた厚労省の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」で、以前報告された補てん状況調査には誤りがあり、「二〇一四年度に行われた消費増税に対応するための診療報酬プラス改定で、病院は八五・〇%と損税になっていた」などの報告がなされたことを受けてのもの。
JA全厚連の中村純誠理事長は記者会見で「医療機関が消費税負担等で厳しい経営状況を強いられる中、懸命に地域医療を守っているにも関わらず、補てん不足が見過ごされたことは遺憾。徹底した原因究明を行い、再発防止に努めるとともに、医療機関における補てん方法について再検討を求める、という趣旨の要請を行う」と述べた。実際の提言内容に関しては、八月二九日に日本医師会などが提言した内容(診療報酬への補てんを維持した上で、個別の医療機関等ごとに診療報酬本体に含まれる消費税補てん相当額と個別の医療機関等が負担した控除対象外仕入れ税額を比較し、申告により補てんの過不足に対応する、等)に歩調を合わせる予定だと話した。
また「医師の働き方改革にかかる政府検討に向けた提言」についても話し合われた。中村理事長は「そもそも医師の不足・偏在が病院経営を圧迫している。働き方改革は、医師の偏在を是正するものでなくてはならない。我々にとって最大の、重要な問題だ」と発言した。提言には医師偏在是正、総合診療医養成などのほか、医師の自己研鑽の重要性、応召義務との整合性、宿日直の基準、地域医療への配慮など、医師の特殊性などを考慮した労働時間規制の検討を盛り込むとしている。