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日本専門医機構に「新専門医制度」に関する要望書を提出=地域医療を守る病院協議会

2018年5月7日

 JA全厚連、全国自治体病院協議会など五団体で構成する「地域医療を守る病院協議会」(議長=雨宮勇JA全厚連経営管理委員会会長)は新専門医制度に関する要望を四月二七日に(一社)日本専門医機構に提出した。要望内容は次のとおり。
 平成三〇年四月から総合診療領域を加えた新専門医制度が新たにスタートした。期待されていた総合診療領域での登録においては、様々な理由があると思われるが、採用・登録者数は一八四名と全体の二・二%程度の状況である。また、従来の他の一八領域についても東京など大都市に集中し、診療科によっては登録がゼロや有っても一名又は二名程度といった道県が多数存在するところである。
 貴機構では「全国から東京に集中しているわけではない」としているが、我々は都道県別の人口比に対する専門医の応募登録者数で比較議論をした。東京の人口は日本全体の人口比で一〇・六%であるが、専門医の登録数は全体の二一・五%と大きく上回っている。また、診療科によっても異なるが、主要な診療科では一九%~三〇%程度といずれも集中と言わざるを得ない数値となっている。このままでは五年後、一〇年後には、現在も問題となっている地域偏在、診療科偏在が増々拡大し、それどころか地方の基幹病院、大学病院においても医師不足で立ちいかなくなるのではないかと危惧している。
 仮に過年度の割合と比較して「東京に集中していない」とするならば、上限がなく元々東京に集中していたことを前提として、変わらないということに過ぎず、昨今の医師の地域偏在が叫ばれる中、大都市集中を是認するものである。
 医師の地域偏在・診療科偏在の解消は、貴機構の役割でないということなのかもしれないが、新専門医制度を通じて、こうした地域偏在、診療科偏在対策を講じることができる唯一の団体であるので、地方における医療確保に対する危機に応えるべく、対策の検討を要請する。
 総合診療専門医に関しては、新たに創設され、位置づけられた領域であり、中心となる学会が存在していないことから、現時点では、この「総合診療専門医に関する委員会」が他の一八領域における学会に相当する。「総合診療専門医に関する運営委員会」を新たに立ち上げ、課題等について議論していくとしているが、今後、円滑且つ本格的にこの領域の確立を進めるためにも、そして、これから総合診療医を目指す者のためにも、委員会において、具体的な制度設計等の議論を加速して協議頂くよう要請する。
 組織運営のことだが、地方の医療機関にとって、医師の確保は死活問題であり、新専門医制度の動向については貴機構からの情報発信が医療確保に重大な影響があることは言うまでもない。しかしながら、唯一頼りとする貴機構のホームページにおいては、専門医の応募状況や理事会等における議論などの様々な情報が全く提供されず、現在の状況は適時適正な情報発信となっているとはいい難い面がある。また、決定されたことについてもどのような過程を経て決まったのか、わかり兼ねるものもある。今後、貴機構の運営に際して重要な適正な情報をいち早く共有していただけるよう要請する。

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