JA全厚連など5団体で組織する地域医療を守る病院協議会(議長=雨宮勇JA全厚連会長)は4日、厚労省の鈴木康裕医務技監〔*〕に医師の偏在解消や働き方改革に係る提言書を提出した。
同協議会では昨年九月、地方で医療を提供する立場から「医師の働き方改革にかかる政府検討に向けた提言」を厚労相宛に提出しており、今回「地域医療の現場では医師の地域・診療科偏在に伴う医師不足が一刻を争う課題。地域医療を守るためにも、国において早急に更なる検討が必要な論点もある」として改めて提言を行ったもの〔提言内容は表参照〕。
雨宮議長、全国自治体病院協議会の小熊豊会長、全国国民健康保険診療施設協議会の押淵徹会長、日本慢性期医療協会の武久洋三会長、JA全厚連の中村純誠理事長らが鈴木医務技監に、総合診療医の養成のほか、医師不足地域で勤務した経験を医療機関の管理者要件とする方策や、医師偏在の是正などを訴えた。
要請後、雨宮議長は「今回の提言は、総合診療医の養成が一番のメインだ。地方は医師不足が厳しい状況にあり、高齢化も進んでいるので、一つの専門臓器だけを見てもらっていても間に合わない問題がある。医務技監には、地方の実態についてご理解をいただいた。提言内容を真摯に受け止め、取り組みたいと言っていただいた」、中村理事長は「厚労省の検討結果や制度案を我々は常に評価しながら、医師不足を解消するためのあらゆる行動をとる」とそれぞれ語った。
なお、総合診療医は『総合的な診療能力を有する医師』のことで、複数の領域別専門医による診療よりも、総合的な診療能力を有する一人の医師による診療の方が適切な場合があること、などから必要とされている。
*医務技監=保健医療分野の重要施策を一元的に推進するための統括的な事務次官級の官職。