営農販売企画部新設のねらいは?
 22年度からの3か年は、統合後の全農事業にとってとても重要な時期だと思っている。社会や政治の状況が大きく変わり、就農者の高齢化や減少、耕地面積の減少など農業を取り巻く環境も大きく変わっている。特に農業粗生産額は20年で8兆5千億円と、ピークであった昭和60年の3割減となっており、産業としての日本農業はじわじわと衰退している。
 その中で、系統農協とくに連合会としての全農の仕事のあり方が問われている。現在の全農は、統合県域の農協や生産者にとっては全農と統合した経済連、統合していない経済連やその管内の農協、生産者にとってはこれまでの全農、の“2つの顔”を持っている。つまり、かつての「全国連全農」よりもはるかに多くの機能を期待される全農として、こうした農業の状況にいかに対応していくかが今後3か年の最大の課題であり、対応如何では全農の将来が決まると考えている。
 全農の最大の使命は、生産者の営農と生活を支援する組織として、生産者の手取りを増やすことであり、そのためには組織の原点に立ち返り、販売力強化を徹底していかなければならない。全農の事業は、米や青果物、肥料などの耕種部門に、飼料や食肉・卵などの畜産部門、ガソリン・ガスや生活用品・店舗などの生活部門の3つに分けられる。また、販売力強化という視点では、米穀部、園芸農産部、畜産事業本部が担当部署ということになる。畜産部門は、昨年の雪印メグミルクの設立で飼料原料の調達から畜産物の販売までの本所の主要な事業を子会社に移管したことになり、川上から川下までのインフラ整備が完了した。今後は、県本部関係のインフラ整備とグループ各社のシナジーを活かしてグループとしての力、購買力・販売力をつける第2のステージに入った。問題は耕種部門。耕種は多種多様な作物があり、米をはじめ長い間制度下で仕事をしてきた品目もある。このため、事業ごとに縦割りで運営するほうが効率がよく、各事業に横串を通すことが難しい分野であったが、生産者の立場にたってみれば、米にしろ野菜にしろ、どういう種を蒔き、どのような肥料を使い、どこにいくらで売るかが最大の関心事、つまり、生産者と消費者(実需)の双方にトータルで何が提案できるかを問われる時代になりつつあるということができる。そして、このことに対応できる途を探りつづけることが真の販売力をつけることになると考えている。なお、生活部門は、現在の地域実態に照らし、くらし・健康など新しい事業理念を決め、これまでの事業運営を再整理・再構築すべき時期にきていると考えている。
 「営農販売企画部」は、こうした耕種部門を横断的に結び一体的に運営する部をめざして、営農総合対策部と大消費地販売推進部を発展的に解消し新設した。総合企画部の輸出対策業務等も引き継ぎ、まずは横断する仕事を一つずつ創っていくことから始めたいと考えている。

「営農販売企画部」の具体的な仕事は?
 第1の柱は、総合生産体系。種苗の供給から栽培方法、輸送、販売先までを、部門横断的につないでいく仕組みづくりである。そのため、生産から販売までの一貫した事業モデルを構築する部署として「事業企画グループ」を設けた。
 第2の柱は、「担い手」対応。農業で自分の将来を創ろうとする人達の高度なニーズに応えていくために導入した「TAC」は、現在全国のJAに約2千人が配置され、これを補完する県域のTACも260人ほどとなった。「TAC推進グループ」では、TACの定着と活動内容の充実に取り組んでいく。
 第3の柱は、総合販売。TACが生産のための農家との接点強化であるのに対し、生産物を販売するための実需との接点を強化をめざす。「総合販売グループ」は、これまでの大消費地販売推進部の仕事をさらに充実させ、生協・量販店への総合販売と販売分野のマーケティング活動を担う。これからは生産・実需双方との接点を拡充していくことが全農の重要な仕事となってきている。
 さらに、バイオマス資源開発室、アグリ情報室、輸出対策室、JAタウン推進室を営農販売企画部に置き、これらが一体となって相乗効果を発揮し生産から販売まで総合的に取り組み、国産農畜産物の販売力強化に繋げていきたいと考えている。

輸出対策のこれからは?
 全農としての取り組みはまだ緒についたばかりだ。これまでの農畜産物輸出は、地域農業振興の一環として県行政が中心となって全農各県本部も参画し個々に取り組まれてきた。しかし、小泉内閣時代に農林水産物輸出1兆円の目標を掲げられたことを契機として、全農としても統一的に輸出に取り組むこととし、総合企画部内に「輸出対策室」を設け、各県本部の実績取りまとめやロシアやドバイ等への輸出の糸口を開いてきた。営農販売企画部への移管に当たっては、輸出を真に日本の農家の収益に結びつけていくため、長期にわたる安定的な取引をめざしていきたい。そのためには、多少時間をかけても、輸出先の消費者の嗜好、流通実態、価格等のマーケットリサーチを徹底して行うことが、継続的な取引に繋がっていくと思う。

「JAグループ国産農畜産物商談会」も4回目を迎えるが、今年の特徴と今後の展望は?
 多様な販売先との関係構築をめざした地域農業と実需・市場関係者との“橋渡しの場”として、出展者も来場者も年々増え定着してきたと考えている。今年は、会場を前回よりも広い東京国際フォーラムに移した。昨年から始めた「TACの店」ブースも拡充した。
 今回は、これまでの商談会のコンセプトで開催しており、各県・地域の特産品フェアという色彩が濃いが、今後は、来場者と出品者のニーズが合って商談にまで発展させるためにどのような出会いを演出できるか、という視点で一歩踏み込んで検討する必要があると考えている。たとえば、今は県制順にブースを配置しているが、トマトなどの作物別、生食・加工仕向け別にひとかたまりのブースをつくるとか、タマネギなど全国の産地リレー提案コーナーなど。さいわい、出品産地は北海道から沖縄まで全国のJAグループのご協力をいただいているので、来場者の方々のさまざまなご意見を頂戴するなかで、“JAグループならでは”の魅力ある商談会になるよう工夫を重ねていきたい。

2010年 3月15日号 第2890号
このひと
JA全農 代表理事専務
成清 一臣 氏

 全農の平成22年度からの次期3か年計画は、「国産農畜産物の販売力強化」を全事業を通じた共通目標に据えることにしている。その統括部門としてこれまでの営農総合対策部と大消費地販売推進部を統合した「営農販売企画部」が本所機構として2月1日付で発足した。同部新設のねらいと展開方向を、全農のこれからの販売戦略を踏まえて成清一臣専務に聞いた。