こめこ議連立ち上げの背景は?
 これまで、日本の食料自給率の現状や食育の必要性、その背景にある地球レベルの問題等々を訴えてきたが、私自身も消費者も言葉上では理解しても、今の豊かな食生活が当分続くだろうと、これらの問題の深刻さを実感として捉えていなかったのではないか。そこに冷凍ギョーザ事件と世界的食料クライシスのダブルパンチが襲った。冷凍ギョーザ事件では、“一人歩き”出来ない日本の食生活の現状を突きつけられた。原油高騰やサブプライムローン問題に端を発した世界的な食料危機では、飼料や肥料等が高騰し輸入に頼っている食品は値上げせざるを得ない状況になっている。食料輸出を禁止する国も出、22カ国で暴動が起こり、毎日1万人もの子ども達が飢餓で死んでいる。この2つの出来事により、家庭の主婦をはじめとした女性達は危機感を高め、安全・安心な国産農産物を買い、日本の農業を支えていく必要性を身をもって実感した。
 特に、子ども達に優先的に国産品を食べさせたいという思いは強い。しかし、全ての食料を国産で賄うことが難しい現状下で、まず自給率の高い米をトップバッターに、せめて給食だけでも国産品で賄いたいという発想が、そもそもの発端であった。

議連立ち上げまでの経緯は?
 学校での米飯給食は今、週2・9日だが、これを5日間、主食を全て米で賄いたいと思った。しかし毎日ご飯では、食のグローバル化が当たり前の子ども達に楽しみがない。そこで米粉100%のパンや麺でなくてもいい、まず米粉を混合したパンや麺を導入してはどうかと考えた。20〜30%の混合でも30〜40万tの米が消費される。このように当初は、学校給食に特化した議連の形を考えたが、これに限らずもっと間口を広げ、米粉加工食品という大きな括りで国民全体を巻き込んだ普及の動きをつくろうと、より多くの議員の参加を得て、改めてこめこ議連がスタートした。

米粉加工食品の利用の現状と可能性は?
 米粉は、これまでも煎餅や和菓子、甘酒、油脂等に使われてきたが、もっと選択肢を増やしていけばそれだけ消費拡大に繋がるのではないか。特に大半を輸入に頼っている小麦粉加工食品の一部を米粉に替えれば、その分輸入が減り米の需要拡大に繋がる。今日、米の粉砕技術も非常に進歩した。美味しい米粉パン作りの技術を持つ人も出てきた。そういう人達の協力も得て、学校給食人気ベスト3に入るような米粉パンを一刻も早く普及させたい。米粉パンは水分が多くしっとりしているので、乾きにくく給食等に向いている。小麦粉パンの代替としてではなく、米粉加工食品のニューフェースとして、カレーパンやピザ風などの工夫、肉味噌など米粉パンに合う具材の組み合わせ等にも一歩踏み込んで新商品を開発していくべきだろう。
 肝心なのは、国の政策のために“食べなさい”ではなく、米粉加工食品で美味しいロングセラー商品を作り、“美味しい”だからまた“食べたい”という商品作りが大切だ。

普及に向けた取り組みの視点は?
 何よりも大事なのは、日本の農業を支えていこうという消費者の意識だ。例えば、旬のものを食べること。これが安心・安全な国産を食べ自給率を向上させ、日本の農業を支えていくことに、つながっていくということを理解してもらいたい。私たちは日本の農業サポーターとしての消費者意識を広げていかなければならない。
 かといって、消費者は理念や志だけでは動かない。価格が選択肢の大きな要素だし、目に見えないと何を買っていいかわからない。ならば、エコポイントのように、農産物に「国産サポートポイント」を付けたらどうか。例えば、国産には大きく分かりやすいマークを貼付し、30枚集めれば割引券と交換する。こうした国産農産物を選び買い支える何らかのシステムを作ってはどうか。
 日本の生産農家の基盤が揺らげば、消費者の食の確保も揺らぎ危うくなる。農業を支えることは自分の命を守ること。そのために国産を買い、その結果として日本の農業の生きる道も拓かれる。これに協力する企業にも、例えば「国産食品サポート企業」というような認定をし、企業に対し、国が税の面で何らかの援助をするというような仕組みができないものか。みんなが得をする仕組みを作って循環させていくことが大事だ。
 農業を支えていくためには、国家間レベルでの交渉事も大事だが、ボトムにもっとわかりやすく目に見える仕組みを作ることが必要だ。そのためには、日々消費の現場にいる主婦の声は欠かせない。
 今、米粉の普及は、国の大きな取り組み課題の1つになってきた。最大のネックである価格を下げる工夫が出来れば、早い段階に一気に普及するだろう。そのためには、専用の品種を開発し作った米粉、古米を加工した米粉等々を用途別にランク分けし価格を設定する等の調整も必要だろう。
 学校給食法が54年ぶりに、食育を加味した法律に大幅改正された。この時期に米粉や地産地消を子ども達にしっかりと定着させたい。生活の中の体験が教育の基本ではないか。日本の子は日本の米や農産物で育って欲しい。それが子どもの成長にも農業の将来にもプラスになる。

最後に日本の農業者に対する期待を。
 農業者のみなさんは、安心・安全な農産物づくりに非常に努力されている。どうか、この努力をまっすぐに続けていただきたい。今のピンチが自給率の向上に繋がる時期にきていると思う。次代は農業が日本を救うと思っている。勤勉な国民性と知恵で伸びてきたこの国の基本は農業にあることを、再認識いただきたいし、我々はそれを誇りに思っている。国と国民は、農業者と連携をとり大きく支援していかなければならない時代だと思う。「農業は日本の命綱」である認識を全国民がもつべきだ。

2008年7月25日号 第2826号
このひと
        衆議院議員・自民党こめこ議連
           事務局次長 藤野真紀子 氏
  食料自給率向上に向け、国をあげて米消費拡大策が検討される中で、米飯に加え新規の米粉加工食品の開発・普及が注目されている。自民党ではこの6月「米粉加工食品を普及する議員連盟」(=こめこ議連)を設立し、米粉加工食品の普及活動を強力に展開していくこととした。今、なぜ「米粉」なのか。その可能性と普及に向けた取り組みの視点を、同議連事務局次長を務める藤野真紀子衆議院議員に聞いた。