19年度のJA共済事業の成果と特徴点は?
 19年度は、今次3か年計画の初年度として、多様化するニーズ・属性に対応するために保障課題別の目標設定を行い、医療系共済や年金共済、自動車共済への積極的な取り組みやニューパートナー獲得に注力した。その結果、生命・建物更生共済合計で、保障金額31兆1520億円を挙績することができた。保障課題別では、生命共済、自賠責共済で全国目標を達成し、年金共済では3年連続で前年実績を上回った。特に生命共済の新契約高は、4月に実施した生存保障ニーズへの対応を強化するための入院特約の仕組改訂や掛金率改定等の効果により、保障金額ベースで目標・前年実績ともに大幅に上回り、9年ぶりに18兆円を超える実績となった。これらは、ひとえに系統役職員の皆様の努力の結果と感謝している。
 一方、共済金の支払は、建更の満期共済金が初めて1兆円を超えるなど、満期や年金の増加が大きく、満期共済金・事故共済金等を合わせて約3兆8278億円と過去最高の支払額となった。そのうち自然災害による建更の支払額は、新潟県中越沖地震、能登半島地震があったことから592億円と前年度を上回った。これらの支払によって、全国の組合員・利用者のお役にたつことができた。
 保有契約高は、満期到来による減少や新しい仕組みへの転換契約も多いことなどから、生命共済の減少が依然続いており、建更でも初めて減少に転じた。このため、JA共済の安定的な事業基盤確保に向けて、満期を迎える契約者に継続して利用いただくことはもとより、次世代層をはじめとした新規契約の確保、即ちニューパートナーの獲得が大きな課題となっている。

生・損保、かんぽ生命等の動向と対応は?
 少子高齢化が進み市場が縮小してきている中で、ますます競争が激化している。昨年12月から保険商品の銀行窓販が全面解禁となったことから、各社とも重要な販売チャネルとして対応を強化している。さらに来店型店舗が台頭し、複数社の商品を取り揃え、保障プランを比較して提示しながら販売し実績を拡大しているものもある。
昨年10月の郵政民営化により発足したかんぽ生命では、郵便ネットワークを活用した生損保の代理店業務、直営店における法人向け商品の受託販売、商品開発や事務システム構築にかかる日本生命との業務提携など、積極的に事業展開を進めてきている。しかしながら、新契約・保有ともに大幅な減少が続いており、さらにこれらの取り組みが機能するまでまだ時間を要するものと考えている。
JA共済は、この時間差を活用して、あらゆる事業活動を通じて協同組合組織としての存在意義を示し、組合員・利用者、地域住民との絆を強化する必要がある。
「3Q訪問」通じ全戸への保障点検

20年度事業のポイントは?
 20年度は、「組合員・利用者及び地域住民の多様なニーズに対応した仕組み・サービスの提供」「コンプライアンスを徹底した丁寧かつ誠実な事業活動の展開」を基本方針とする今次3か年計画の達成に向けて、事業遂行上の課題解決に迅速・的確に対応していくための重点取組事項を定め、実現に向けた各種施策を展開していく。具体的には、組合員・利用者との信頼関係をさらに強くし、次世代層からの支持も継続して得ていく「絆の強化と仲間づくり」のさらなる進展をめざし、3Q訪問活動の浸透に力を入れている。「安心は会うことからはじまります」を合言葉に、3Q訪問活動による保障点検を徹底して実践し、多様化する利用者ニーズに対応した保障提供への取り組みを強化する。
生命共済では、医療や年金分野のニーズに対応して新しい仕組みを活用した保障点検を積極的にすすめていく。具体的には、20〜40代の若年責任世代には、医療保障と併せて家族収入保障特約の活用による万一保障の提供を図る。過去の病歴等で保障が継続できなかった中高齢者に対しては、引受緩和型定期医療共済を活用して保障の拡充を図っていく。また、満期共済金や中高齢世代における退職金等の活用による老後資金等の資産形成ニーズには、一時払生存型養老生命共済や年金共済を活用した保障提案を強化していく。自動車共済では、提案活動の徹底による新規契約の拡大、および家庭用自動車共済への移行促進を図る。そのための保障力の強化と、簡素で分かりやすい制度づくりを進める。
20年度は大量の建更の満期を迎えるが、共済掛金振替払特約を活用するとともに1件毎の管理を強化し保障継続を徹底する。併せて、MY家財の未保障者・低保障世帯の解消に向けた取り組みを強化していく。
 また、組合員・利用者への利便性向上と質の高いサービスの提供に向けて、組合員・利用者の視点に立った事務の簡素化や適正化に取り組んでいく。
 さらに、コンプライアンス態勢の確立と信頼性向上に向けた取り組みとして、3Q訪問活動においても請求忘れなどを含む統一質問事項を設定し、保障内容の説明を実践することで、請求漏れ防止の徹底に取り組むほか、不祥事ゼロに向けて掛金の口座振替や返戻金の口座振込など自振率向上をめざす。
誠心誠意のサービスから生まれる信頼

ご自身のJA共済事業に対する思いは?
 昭和32年に農協へ奉職して以来、私の農協マン人生は共済事業とともにあった。「協同組合運動の基本は組合員のもとにどれだけ足を運ぶかだ」との信念で、奉職間もない頃のボーリング推進に始まり、組合長になってからも自ら集金に回り続けた。日々の推進の結果が、万一の際、契約者の喜びにつながる充実感を知っている。JA共済事業は、共済という目に見えない仕組みを推進する仕事だけに、「信頼」が何よりも大事だ。組合員・利用者からの信頼を得る一番の方法は、約束を徹底的に守ることであり、『誠心誠意』のサービスに努めることだと思う。組合員・利用者に信頼され、JAの方を向いていただける組織をつくっていかなければ存続はできないだろう。それだけに、3Q訪問活動は非常に大切な活動であり、これを徹底していけば、激化する競争にも負けることはないと確信している。共済事業は、安心・安全を求める時代のニーズに即した事業である。コンプライアンスの徹底に努めながら、これまで培ったノウハウと優れた仕組みをもって必要な保障を組合員・利用者に勧め、豊かで安心して暮らすことのできる地域社会づくりへ貢献していくことが、JA共済事業に携わる者の最大の勤めだと考える。
「絆の強化と仲間づくり」更なる進展へ

今年度の優績組合をはじめ全国のJA共済事業関係者にメッセージを
 厳しい環境の中において、19年度も着実な実績を確保することができたのは、ひとえに、目標必達に向けたJAの組織力結集の成果であると確信しており、受賞組合をはじめ、系統役職員の皆様のご尽力に改めて敬意を表するとともに、感謝の念に絶えない。表彰組合はJA共済事業を先頭に立って牽引する存在である。今年度は昨年度より、次年度は今年度より高い目標に向かう意欲を持って切磋琢磨し、より高い位置をめざしていただきたい。我々の組織は、まさに人と人との繋がりで成り立っている。これからも信頼関係に基づく最良の安心と満足を提供していくことを使命に、さらに皆さんの力を結集し、JA共済の理念である「相互扶助の精神」に基づき、これまで以上に組合員・利用者との「絆の強化と仲間づくり」を進めていただきたい。


2008年5月15日号 第2819号
このひと
    全国共済農業協同組合連合会
        経営管理委員会会長 野村 弘 氏
 JA共済連は5月15日、「平成19年度JA共済優績組合表彰式」を開催する。これに先立ち、JA共済連の野村弘経営管理委員会会長に、19年度の共済事業の成果を振り返ってもらいながら、これからのJA共済の取り組みと、JA共済事業に対する思いを聞いた。